売買指標の読み方

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投資スタンスと重視指標~グロース投資とバリュー投資

投資スタンス 期間 重視指標 チェックポイント 失敗しないために
短期投資 1日~2週間 チャート 勢いがあるか 「負け」を認め、早めのロスカット
中期投資 半年~2年 PER 割安かどうか 期待に反した時は本当に割安株だったのかを再チェック
長期投資 5年~10年 ROE 成長性を買う 安易に利益確定をせず5~10倍に上がるまで待つ
  • 中長期投資

    株価は、1株当たりの利益(EPS)と株価収益率(PER)の積となります。

    中長期での投資では、投資先を選択する際には業績(EPS)に注目する EPS 重視のグロース投資(成長株投資)と
    PER 重視のバリュー投資(割安株投資)という2つの投資スタイルがあります。

  • 短期投資

    短期売買で大事なのは、個々のファンダメンタルズよりも、株価の「変動率」と「取組み」と思います。

    変動率の大きな銘柄ほど、リスクは大きくなりますが、リターンの可能性も増えます。

    また取組みが拮抗していれば、ちょっとした材料で株価が大きく動きやすくなります。短期レンジでは需給要因の方が大きいので、短期売買のタイミングを計るには、PERやPOEよりもチャート分析が有効です。

割安株・割高株~株の評価度をみる3つの指標

  1. PER(株価収益率)=株価÷1株当りの利益
  2. PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当りの純資産
  3. ROE(株主資本利益率)=純利益÷純資産

(注)1株当りの利益(EPS)=純利益÷発行済株式数
   1株当りの純資産(BPS)=純資産(=株主資本=自己資本)÷発行済株式数

利益面から見て今の株価が割高か割安かをみる(PER)

  • PER(Price Earning Ratio)とは「株価」を「1株当りの利益」で割って求めます。

    株価が変わるとPERも変わります。「1株当りの利益」の何倍まで株価が買われてるかをみる指標です。

    株価は将来の業績予想を先取りしますから、PERを計算する時は来期の予想利益で計算したPERを使うといいと思います。

  • PERが低いということは、結構な業績を上げながらそれに比較して株価が安く評価されていることを意味します。

    反対にPERが高いということは、その株の価値に比較して企業の収益が悪いか、あるいは反対に株価が高く評価され過ぎているということです。

  • PERには絶対的な割高、割安の水準はなく、相対的に比較します。

    業種によってもPERの平均はだいぶ違います。その会社の過去のPERと比べたり、同業種やライバル会社のPERと比較したりして、「同業他社はPERが30倍前後なのに、この会社はPER20倍程度だから割安だ」とか、「この会社は過去数年間を見てもPERはだいたい30~50の間に収まってるから、今のPER70倍は割高かな」といった具合に比較します。

会社が保有している資産から株価が割高か割安かをみる(PBR)

  • PBR(Price Book-value Ratio)とは「株価」を「1株当りの純資産」で割って求めます。

    純資産とは資本金や余剰資金の合計で、株主資本とも言います。この「1株当りの純資産」は「解散価値」ともいい、この「解散価値」に比べて、株価がどこまで買われているかを見ることによって割安かの判断をします。

    PBR1.0倍を株価の大底に対しての目安として使うことが多いです。

  • PBRが1を割ると、株価はその企業の解散価値以下になってしまっているということを意味します。

    株価が下がり続けてる時など「これ以上さがってもPBRが1倍程度で止まるだろう」とか「今PBRが1倍以下だから、割安さに注目が集まってすぐまた1倍に戻るだろう」といった具合です。

  • 注意点は、純資産が”帳簿(Book-value)上の価値”であるということです。

    土地や建物は時価ではなくて、取得時の金額で現されてるので、バブル時などに現在より高い時価で土地などを買っていた場合、企業の実際の解散価値は帳簿上の価値より低いことになります。

株主のお金をどれだけ効率よく活用しているかをみる(ROE)

  • ROE(Return on Equity)とは「純利益」を「純資産」で割って求めます。株主のお金をどれだけ効率よく活用しているかどうかを見る指標です。

    投資するときは、投資したお金を効率よく活用してくれる企業に投資したいから、それを見るのに使います。株主にとっては自分の投資の利回りに相当する指標ともいえます。

  • 公募増資などで株式を発行して得たお金は純資産に加えられます。発行済株式数が増えた分、利益も増やさないと単位株あたりの配当金や1株当たりの利益は低下するし、株価も下げてしまうかもしれません。

    逆に、利益が増加してもROEが下がっていくという会社は株主の期待に応えているとは言えません。

    ROEの高い会社は、収益力をアップして株主の利益も優先する経営を目指してる会社というメッセージと受け取れます。

  • 土地を売却するなどで一時的に利益が大きく増えた場合や、負債が多くて純資産が少ない会社はPOEが高くなりがちですので、過去の推移と将来の予想などもあわせてみる必要があります。

    他社と比較するときはこのような注意も必要です。

投資先企業をどう判断?~成長力と安全性見極めを

企業の成長性把握(売上成長率・利益成長率)

売上規模 成長率
5000億円以上 3%
1000~5000億円 6%
1000億円以下 12%

成長株を見分ける1つの方法に、企業の売上成長率・利益成長率を見る方法があります。

電卓で簡単に計算できるよう(4乗根の計算は電卓の√を2回押す)、4年間の複利法で計算した売上成長率は次の式になります。

売上規模による成長率の目安は右図を参考に、この成長率より高いとその企業の成長性は高いと言えます。

売上成長率(%) = ( - 1 )× 100

(注)利益成長率の計算には売上高の代わりに純利益を使います。営業利益、経常利益を使う場合もあります。

企業のファンダメンタルズ把握(デュポンシステム)

企業の業績を解明するために、株主資本収益率(ROE)を

売上高純利益率(収益性)×財務レバレッジ(安全性)×総資本回転率(効率性)

に分解し、企業の収益性、安全性、効率性という3つの側面から業績アップのための企業のファンダメンタルズを把握する手法です。

指標 把握項目 見方のポイント
売上高純利益率 =純利益/売上高 収益性 売上高に占める純利益の割合。
最終的な利益の比率として、会社の活動が、株主の配当原資や資本の増加にどの程度結びついたのかを表しています。
この比率と、経常利益×(1-実行税率)とを比較して、あまり大きな違いがなければ、大きな特別損益はない可能性が高いといえます
財務レバレッジ =総資本/株主資本 安全性 株主資本比率の逆数で負債の有効利用度と言う意味で使われます。
株主資本比率が高ければ借金は少なく、低ければ借金が多いと考えられます。負債が少ないほど経営の健全性が高いといわれていますが、場合によってはもう少しリスクをとって借入金をてこ(レバレッジ)として使ったほうがよいという見方もできます
総資本回転率 =売上高/総資本 効率性 総資本をどの程度効率的に使って売上高を達成したのかを示す比率です。
この比率は、損益計算書(P/L)の総額である売上高と、貸借対照表(B/S)の総額である総資本とを比較したもので、この比率が大きいほうが、大きな売上をスリムな総資本で上げていることになるため、効率よく事業が行われていることになります

企業の実力・健康状態をみる(決算書はこの数字をチェック)

決算書 項目 チェック内容
損益計算書

企業の1年間の儲けをみる

  • 売上高
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 純利益
→毎年の伸び率、同業他社との比較
→売上高の伸び率より低ければ、材料費や人件費が上がってる?
→利息支払いが利益を圧迫してないか?為替差損はどうか?
→不自然な損失や利益がないか?
貸借対照表

企業の資産・借金の状態をみる

【資産の部】

  • 売掛金
  • 貸倒引当金

【負債の部】

  • 買掛金
  • 短期借入金
    長期借入金

【資本の部】

  • 資本準備金
    剰余金
→売上増加に見合っていれば増えていても心配はない
→焦げ付いた不良債権額は、将来財務状態を蝕んでいく可能性あるので注意

→売上に比べ急激に減ってると企業の信用が落ちて支払条件が厳しくなっている
→借金少ないと利息負担少ない、短期の借入比率が高いほど資金繰りは忙しい

→将来資本に組み入れられると、無償増資や増配で株主に還元されるので注目

(注)

  • 売上高(企業の収入、財務分析の基礎数字)
  • 営業利益=売上高-〔製造原価、一般管理費(賃金、家賃など)〕
  • 経常利益=営業利益-金融収支(借金の利息など)
  • 純利益 =経常利益-〔特別損益(本業以外で生じた損失=設備や土地の売却損など)、税金〕
  • 売掛金(代金未回収の売上額)、貸倒引当金(回収不能な見込み額)
  • 買掛金(原料などの仕入れで未払い額)、短期・長期借入金(金融機関からの借入)
  • 資本準備金・剰余金(資本金に組み入れていない企業財産)

相場・需給と信用取引指標~信用倍率、信用残

信用残は将来を示唆する重要なデータです。
信用買残の増加は、短期的には好材料ですが将来の「売り」圧力の増加となり需給悪化の要因になります。
一方、信用売残の増加は、短期的には悲観材料ですが将来の「買い」圧力の増加となり需給改善の要因になります。

一般に、信用倍率(貸借倍率;=信用買残÷信用売残)は株価の上昇局面において高くなり下降局面において低くなる傾向があります。また、信用倍率(貸借倍率)が大きくなれば取り組みの悪化を、小さくなれば取り組みの改善をそれぞれ示します。

倍率が拡大傾向にある時は、買いが強く市場全体に活況がみられる一方、縮小傾向にある時は、市場人気の低下がうかがえます。信用倍率(貸借倍率)と需給要因のサイクルは以下のようになります。

信用倍率と需給

  1. 信用買残(→ or ↓)、信用売残(↑)(信用倍率の下降局面)
    今までの下降低迷相場が頭にあって、買い方にもまだ自信がないため信用買残は変わらずか、漸減です。他方、株高を見くびってる売り方は、なお信用売残を上乗せしてくるので信用倍率はますます下降します。

  2. 信用買残(↑)、信用売残(↑)(信用取組厚み増し局面)
    やっと自信を持ち始めた買い方の参加で、信用買残は増加が目立ちます。売り方は、売りナンピンで売り上がり体勢を取ってきますので、信用売残は増加が続き、信用取組は厚みを増します。

  3. 信用買残(↑)、信用売残(→)(信用取組悪化局面)
    売り方は、踏み上げ発生で買い決済になり、一方、買い方は、買い乗せにより株価は一層上昇します。この段階から信用売残の増加は頭打ちから減少に転じ信用買残の増加はなお続くため信用倍率は上昇して、信用取組は悪化傾向になります。

  4. 信用買残(↑ or →)、信用売残(↓)(信用倍率の上昇局面)
    売り方は、踏み上げまたは追証、期日決済発生等の後で信用売残は減少します。反面、買い方の信用買残は、増加継続ないし回転が鈍りだし株価の頭を押さえる現象になり、この信用買残は、いずれ売り処分しなければ成らなくなり株価の下げ要因に転化することになります。この状況はは、やがて上記いずれかのサイクルに移行します。

信用残と相場

信用買残 信用売残
【強気】株価上昇に伴う信用買残増加
【警戒】信用買残増加後、株価が上げ渋る
【弱気】株価下落に伴う信用買残減少
【強気】ピーク時と比較し、信用買残大幅減少
【弱気】信用買残増加中に株価が下降し始めた  
【強気】株価上昇に伴う信用売残増加
【警戒】信用売残減少後、株価が下げ渋る
【強気】株価下降に伴う信用売残増加
【弱気】信用売残急減
  1. 下降相場の初期段階では、株価が下がる割に信用買残が減少せず、株価下落が信用買残減少率に先行している間は、株価は底入れせず減少が続きます。

  2. 株価が伸び悩んでいる中、信用売残だけが大きく減少し、信用買残が残った場合、株価先安要因となります。

  3. 下げ相場において信用期日に向かい、信用買残が50%前後減少したときが整理完了の目安で、やがて上昇に転じることが期待できます。

  4. 株価が下落する段階で信用売残増加が早い場合、近い将来反対売買の買い戻しで、自立反発から上昇局面に転じることが期待できます。

  5. 株価上昇時の出来高増加と比較して信用買残の増加が少ない場合、個人投資家より機関投資家、証券会社の自己売買が主といえます。

  6. 株価上昇時に出来高と信用残の増加が伴う場合、個人投資家が積極的に参加しているといえます。

    株の達人さんより)
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