なぜ今中国株なの~中国の株式市場と投資環境

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なぜ今中国株なの?

中国株にいま注目が集まっています。ちょうど日本の高度経済成長期の様相です。今年(2004年)何回か上海に行きましたが、前後左右に高層ビルがあり、思わず「ここは東京か?」と錯覚してしまうほどです。

いやむしろ、この高層ビルの林立や高速道路は東京以上かもしれません。想像してた以上に中国の活力が感じられます。

  1. 2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博などビックイベント目白押し
  2. まだ株価が安い上に、配当や無償増資にも積極的
  3. 人民元の切り上げ期待~ドル換算価値上昇による株価価値の上昇
  4. 国内のインフラ整備として3大プロジェクトや証券市場改革が推進されている

日本株で得た利益の一部を中国株に投資してみることにしました。準備期間に2ヶ月間かけ、中国株の基礎と中国株の選び方、中国の今後の成長予想を「中国株ならはじめてでもドカンと儲かる!!」(柏木里佳著、宝島社)で学び、8月に実践に移しました。

2~5年後に一攫千金の大化けするか、はたまた紙くずとなるか楽しみです。

中国の株式市場

中国の株式市場には、香港市場と上海、深圳の本土2市場の3つがあります。日本人が買える中国株は、香港市場「H株」「レッドチップ」と上海市場「B株」、深圳市場「B株」の4つです。

  • 香港市場は、中国本土企業の「H株」と中国資本の香港子会社の「レッドチップ」
  • 上海、深圳市場は、中国人のみが売買できる人民元建ての「A株」と中国人・外国人ともに外貨建てで売買できる「B株」
市場 資本 登記 銘柄数 時価% 通貨 取引 市場の特徴
香港
市場





H株 中国 中国 103社
(35社)
4.3% 香港ドル ・鉄鋼・電力・道路等の中国本土のインフラ関係企業
・中国本土のインフラ景気と連動
レッド
チップ
香港 74社
(1社)
12.2% ・IT・通信・サービスなどの米国向け輸出企業が多い
・海外市場、とりわけ米ナスダック市場と連動
その他 香港
など
香港 728社 42.2% ・香港の地場企業・海外からの上場企業
・ハンセン指数銘柄など銘柄数は圧倒的に多い
GEM
その他
163社 0.7% ・香港の地場企業・海外からの上場企業
・新興企業市場、東証マザーズに相当
上海
市場
A株 中国 中国 820社 28.2% 人民元 ×
B株 54社 0.3% 米ドル ・流通・家電・旅行など民間消費関連銘柄が多い
・中国本土の消費経済と連動
深圳
市場
A株 中国 中国 492社 11.6% 人民元 ×
B株 56社 0.5% 香港ドル ・地理的に近い香港経済と連動
・政府の香港経済重視方針の強弱と連動

(注)銘柄数:2004年6月末現在。
銘柄()内:GEM銘柄内数、時価%:各市場が占める時価総額比率
立会時間(日本時間):香港11:00~13:30,15:30~17:00、上海,深圳10:30~12:30,14:00~16:00

中国株と5つの株価指数(()内は指数基準日)

中国の株価指数には、

  • ハンセン指数(1964年7月;100ポイント)
  • 香港H株指数(2000年1月;2,000ポイント)
  • レッドチップ指数(2000年1月;2,000ポイント)
  • 上海B株指数(1992年2月;100ポイント)
  • 深圳B株指数(1992年2月;100ポイント)

があります。

ハンセン指数は香港市場を代表する指数でその構成銘柄は時価総額の約7割を占めます。

ハンセンとレッドチップ指数は投資主体が海外投資家なので、アメリカ市場と連動傾向が強いです。香港の中国株の動きを見るなら、中国経済と連動するH株指数に注目です。

  1. 【独立した動き】香港H株とハンセン/レッドチップ
  2. 【連動】ハンセンとレッドチップ
  3. 【連動が切れつつある】上海B株と深圳B株

中国株投資のリスク ~日本株投資とは違った固有のリスク

投資リスク リスクの内容
カントリーリスク 中国株は、政治の動きに大きく左右されると言われています。国の突然の経済政策や為替制度の変更、政策変更による送金不能や停止には充分な注意が必要です。
為替リスク 中国株は、香港ドルまたは米ドルによって取引されます。このため、売買や配当の受取りの際、為替相場の影響を受けます。
流動性リスク 市場規模がまだ小さいため、銘柄ごとの取引高に格差があり、銘柄によっては売買しようとした日に値段がつかないことがあります。
信用リスク 企業の経営・財務内容の悪化により信用が低下し、配当金が減少、あるいは支払いが滞ったり、停止されるなどの債務不履行リスクがあります。
企業情報開示リスク 中国株の一部にはディスクロージャーに対する認識が浅いため、投資家保護のための積極的な情報開示が期待できない場合があります。(香港株は情報開示、国際会計基準を義務付け)

中国の投資環境

今の中国市場を見る際の注目点は、企業業績、金融政策(人民元切上げ・金利引上げ)、証券市場改革(規制緩和・非流通株問題)、北京五輪・上海万博などのイベントです。

  • 中国は、2001年以降も7~9%のGDP成長を続けてきましたが、株価(香港市場を除く)自体は、2001年6月13日の上海総合株価指数(A・B株全銘柄対象)2242.42を天井に、翌14日の「非流通株売却の新規制」政府発表後から、4年に及ぶ長期下落傾向にあり振るいません。

    下降局面の底流にあるのは、中国政府の証券市場改革に対する投資家の不信感や情報開示など企業統治への不満など根強い不信があるものと思います。

  • 今年(2004年)の企業業績は好調で、期待が持たれてますが、短期的には過熱経済を冷やすための金融引き締めが影響します。

    一方、北京五輪を見据え中期的な上昇を予想する声も少なくありません。経済成長をより確実にし、外国人投資家の期待に答えるには、証券市場改革(規制緩和・非流通株問題)が必須と思います。

  • 人民元の切上げは、中国企業の資産がドル評価で上昇するので、株価上昇が期待されます。

    香港ドル(元と連動)建ての香港株、深圳B株が上昇し、米ドル建ての上海B株は下落する可能性もあります。

    輸出企業や安い人民元に依存した業界(鉄鋼など)は打撃を受けますが、国際競争力のある業界(IT、繊維など)や輸出に依存しない業界(電力・道路などのインフラ銘柄)は期待されます。

  • 中国企業の株価の動きは業績だけでは判断できません。政府の政策発表にも株価は敏感に反応します。

    毎年3月に開催される全国人民代表大会(全人代:国会に相当)や5年毎に実施される中国共産党大会(次回は2007年)で発表される政策など、株式相場を大きく動かす政策にも目配りが必要です。

株式相場を大きく動かす政策に注目 ~証券市場改革

政策 内容 株式市場へのインパクト
市場改革 QDII 中国機関投資家の香港投資開放 香港H株,レッドチップが上昇、A株はマイナスの影響
CDR 中国預託証書発行制度 香港H株,レッドチップが上昇、A株はマイナスの影響
QFII(限定実施中) 海外機関投資家のA株投資開放 A株上昇でB株も連れ高
非流通株問題 政府保有の国有株放出/C株創設 A株下落、影響は中国市場全体に及ぶ
A株、B株統合 価格差が生じてるAB株を統合 B株が大幅上昇、割高のA株にはマイナス要因
国内2市場統合 上海、深圳市場統合 影響は未知数、市場整備が進み市場活性化期待
産業政策 CEPA(締結完) 中国と香港の経済交流協定 香港株、深圳株が上昇、上海株にも好材料
金融政策 金利引上げ 景気過熱予防/不良債権処理 景気停滞懸念で短期的には株価下落
人民元切上げ 過小評価されてる人民元切上げ 香港ドルの深圳B株上昇、米ドルの上海B株下落

(注)QDII(Qualified Domestic Institutional Investors,指定国内機関投資家)
   QFII(Qualified Foreign Institutional Investors,指定国外機関投資家)
   CDR(China Depository Recipts)、CEPA(Clausaly Economic Partnership Agreement)

地方経済を活性化する3大インフラ・プロジェクト ~西部大開発

第10次5ヵ年計画(2001年~2005年)の重点事業プロジェクトに位置づけられている3大インフラ・プロジェクトに市場の注目が集まっています。

プロジェクトの完成により石油ガスや電力、道路、物流などのインフラ産業には大きな収益源が発生し、鉄鋼やセメントなどの素材産業などへの波及効果が期待されています。

プロジェクト プロジェクト概要 投資規模
西気東輸 西部地域で産出する天然ガスを、東部沿岸地域に運ぶ、全長約4000キロのパイプライン施設プロジェクト。2004年12月末から商業運転を開始、完成は2010年頃。

1500億元
西電東送 西部地域の水力発電所から、電力需要が伸びている東部地域への電力供給プロジェクト。三峡ダムは2005年8月に発電開始、完成は2009年の予定。

1000億元
南水北調 水資源が豊富な南部の長江から、乾燥地帯である北部の北京や天津などに水を引く渇水対策プロジェクト。2005年1月に着工、第1期が2007年に完成見込み。

1000億元

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