各国経済指標と通貨の特徴


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なぜ為替は変動するの?

  1. 実需による需給関係 ~需要と供給のバランスが崩れると通貨の価格が変動します

  2. ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)要因 ~金利政策(日銀政策、FOMC)、経済成長率(GDP)、国際収支(貿易収支)、雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、物価(生産者物価、消費者物価)

  3. テクニカル要因 ~外為市場でもチャートを分析して相場を予想するディーラーが増えてきたため、相場を動かす要因となっています

  4. その他の要因 ~通貨介入(過度の円高・円安や相場の乱高下の防止)、長期国債格付け(国の通信簿的役割)、株価(外人投資家の株売買に伴う円買い・売り)、政治の安定性、戦争・テロなど

米経済指標

統計名 発表元 統計期間 時期 為替変動要因
GDP成長率 商務省 4半期 毎月下旬 GDP成長率上昇→ドル高
GDP成長率低下→ドル安
設備投資調査 商務省 4半期 該当4半期の最終月 設備投資指標が上昇→ドル高
設備投資指標が下落→ドル安
ベージュ・ブック
(政策金利)
FRB 年8回開催の
FOMCの13日前
金利が上昇→ドル高
金利が下落→ドル安
ISM指数
(景気指標)
全米購買部協会 月次 毎月第1営業日 指数が50を上回る→ドル高
指数が50を下回る→ドル安
雇用統計 労働省 月次 毎月第1週金曜日 非農業部門雇用者数増加→ドル高
非農業部門雇用者数減少→ドル安
小売売上高 商務省 月次 毎月第2週 小売売上高が上昇→ドル高
小売売上高が下落→ドル安
鉱工業生産指数 FRB 月次 毎月中旬 鉱工業生産指数が上昇→ドル高
鉱工業生産指数が下落→ドル安
消費者物価指数
(CPI)
労働省 月次 毎月中旬 CPIが上昇→ドル高
CPIが下落→ドル安
貿易収支 商務省 月次 毎月中旬 貿易収支が縮小→ドル高
貿易収支が拡大→ドル安
住宅着工件数 商務省 月次 毎月第3週 住宅着工件数上昇→ドル高
住宅着工件数下落→ドル安

ユーロ圏経済指標

統計名 発表元 統計期間 時期 為替変動要因
IFO景況指数 ドイツIFO経済研究所 月次 毎月中旬 IFO景況指数が上昇→ユーロ高
IFO景況指数が低下→ユーロ安

国内経済指標

統計名 発表元 頻度 内容 ワンポイント
経済・物価情勢の展望
(=日銀展望レポート)
日銀 半期 中期的な経済・物価情勢の見通しを示す。
発表は4、10月の年2回
日銀の金融政策運営の判断材料
国内総生産
(=GDP)
内閣府 4半期 国内の経済活動で生み出された付加価値の
統計。4半期速報の発表は2、5、8、11月
経済統計の”スター”。たくさんの統計を合体してつくる
法人企業統計 財務省 企業の売上高、損益などをサンプル調査。
4半期別調査の発表は3、6、9、12月
最大級の企業アンケート、日銀短観やGDP統計の基礎資料
企業短期経済観測
調査(=日銀短観)
日銀 全国1万社強の民間企業を対象にした景気
アンケート調査。発表は4、7、10、12月
景気アンケートの決定版
消費者物価指数
(=CPI)
総務省 毎月 消費者がよく買うモノ・サービスの価格の動き
を指数に
いま最も注目されている指標の一つ
景気ウオッチャー調査 内閣府 タクシー運転手やコンビニ店長らが景気を分
析・評価
現場の生の声がふんだんに
鉱工業生産指数 経産省 鉱工業の生産量を指数に 発表のタイミングが早いのでエコノミストも重視
貿易統計 財務省 モノの輸出入の量や額を集計 かっては日米、今は日中も注目
機械受注統計 内閣府 全国280の機械製造業者の受注額を集計 6-9ヵ月先の設備投資が分かる
毎月勤労統計 厚労省 主要産業の労働者数、労働時間などを調査 残業時間は景気と連動
労働力調査 総務省 失業者数や失業率などを調査 失業者数も景気と連動
商業販売統計 経産省 百貨店、スーパーなどの売り上げを集計 個人消費の動きを示す
家計調査 総務省 約8000世帯の家計をサンプル調査 サラリーマン世帯の実像が分かる

各国通貨の特徴

外国為替証拠金取引をする上で一番悩むのが通貨の選択です。

各社とも基本的な通貨ペア、ドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円などは取り扱っていますので、特徴を捉えることができない通貨や情報入手が困難な通貨を持つよりも、主要通貨を中心に、自分で把握できる通貨を選び取引するのがいいと思います。

通貨の分類

分類 特徴 対象通貨
主要通貨 先進国通貨、取引量が多い、投資に向いている 米ドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドル
準主要
通貨
先進国通貨、取引量やや多い(NZドルは豪ドルの1/7位) NZドル、ノルウェークローネ、スウェーデンクローネなど
エマージング
通貨
新興(エマージング)諸国通貨、取引量少、投資可だが注意が必要 南アフリカランド、BRICs諸国(ブラジルレアル、ロシアルーブル、インドルピー、中国人民元)、東欧、中南米、東南アジアなど
コモディティー
通貨
資源などの市況商品(コモディティー)の輸出国通貨、商品相場と連動しやすい 豪ドル、カナダドル、南アフリカランド、ノルウェークローネ、ロシアルーブルなど
避難通貨 戦争や紛争が起これば、そのときに最も安全だと思われる通貨 スイスフランなど
高金利通貨 金利の高い通貨は買われる傾向があるが、異常に高い金利には注意が必要 豪ドル、NZドル、ポンド、ハンガリーフォリント、南アフリカランド、メキシコペソ

主要通貨の特徴

取引量 通貨 特徴
1 米ドル
  • アメリカの財政や軍事などの出来事を中心に値動きする
    • アメリカの経済政策(FOMC:金利上昇→ドル買い→ドル上昇)

    • アメリカの経済指標(GDP:伸び率高い→好景気→消費の拡大→ドル上昇)
      (貿易収支:貿易赤字拡大→ドル下落)
      (雇用統計:失業率上昇→景気後退→金融緩和→金利低下→ドル下落)
      ※雇用者数:+15万人が雇用回復の目安、失業率:5%がインフレ懸念の分岐点

    • アメリカの株式市場(低迷→ドル下落)
    • 原油価格の動向(原油高騰→株価低迷→ドル下落)
    • イラク情勢・テロ関連(軍事費増→財政赤字増→ドル下落)
  • 金価格と逆相関の相場を描くことが多い

  • 為替差益+スワップ金利狙いの両方とも狙いやすい通貨
2 ユーロ
  • ドルに次ぐ取引量、ドル、円に大きく影響を受けて値動きをする
  • 同じ円安でも、ドル買、円売どちらの値動きで動いているかの見極めが必要
  • 各国の経済状況はまちまちなため、為替変動要因が掴み難い通貨でもある
  • ドル安の際の逃避通貨として利用されやすい
3
  • 円は東京市場での取引が圧倒的に多いのが特徴
  • 米国経済の影響を受けやすいため、米国の金利などにたいして敏感に反応
4 ポンド
  • ユーロと似たような動きをするが、流動性が低いため値動きが激しい
  • 高金利で短期での値動きが大きいため、プロの投資家に人気がある
  • 為替差益狙いで、スワップ金利もという人向きだが投機的な面も
5 スイスフラン
  • 政治的中立性から、伝統的に安全な通貨として広く認知されている
  • 戦争などの有事が発生すると、安全な避難先通貨としてよく買われる
6 豪ドル
NZドル
  • 豪ドルは、ドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフランの次に取引の多い通貨
  • 高金利通貨として有名、ほかの通貨との連動性が低いため値動きが少ない
  • ただし流動性が低いため、値動きが荒いときもある
  • 金価格と連動している面もあり、米ドルと逆相関の値動きをすることも多い
  • スワップ金利狙い向き
7 カナダドル
  • アメリカとの関連が深い通貨、値動きは穏やか
  • 豪ドルほどではないが高金利

(注)ユーロ加盟国(2006年現在25ヵ国):内アイルランド、フィンランド、ポルトガル、イタリア、ドイツ、オランダ、スペイン、オーストリア、ルクセンブルク、フランス、ベルギー、ギリシャ の12ヵ国がユーロ通貨を導入。イギリス、スウェーデン、デンマークおよび2004年度加盟国(10ヵ国)は導入していない。(ノルウェーは1994年国民投票でEU加盟を拒否、デンマークは2000年9月に国民投票でユーロ通貨導入を拒否)

主要通貨の政策金利

政策金利一覧

年月 日本 米国 ユーロ 英国 豪州 NZ スイス カナダ 南ア
2007/9     4.00 5.75 6.50 8.25 2.75 4.50 10.00
8 0.50 5.25 4.00 5.75 6.50 8.25 2.50 4.50 10.00
7 0.50 5.25 4.00 5.75 6.25 8.25 2.50 4.50 9.50
6 0.50 5.25 4.00 5.50 6.25 8.00 2.50 4.25 9.50
5 0.50 5.25 3.75 5.50 6.25 7.75 2.25 4.25 9.00
4 0.50 5.25 3.75 5.25 6.25 7.75 2.25 4.25 9.00
3 0.50 5.25 3.75 5.25 6.25 7.50 2.25 4.25 9.00
2 0.50 5.25 3.50 5.25 6.25 7.25 2.00 4.25 9.00
1 0.25 5.25 3.50 5.25 6.25 7.25 2.00 4.25 9.00
2006/12 0.25 5.25 3.50 5.00 6.25 7.25 2.00 4.25 9.00
11 0.25 5.25 3.25 5.00 6.25 7.25 1.75 4.25 8.50
10 0.25 5.25 3.25 4.75 6.00 7.25 1.75 4.25 8.50

主要国の長期国債格付け(2006年1月現在)

各国の政府が発行したり保証したりしている債券(ソブリン債)である長期国債の格付けは、その国の通信簿的な役割を持ちます。

発展途上国や政情不安定国などカントリーリスクの高い国に投資する場合には、その国が政治的・経済的要因からデフォルト(債務不履行)に陥る危険性をもってます。格付けはその国の信頼度、安定度をはかる目安で、投資適格ラインはBBB-/Baa3以上です。

格付け S&P(米国)AAA ムーディーズ(米国)Aaa フィッチ(欧州系)AAA
AAA Aaa 米、英、スイス、豪、カナダ、NZ、ノルウェー、スウェーデン、シンガポール 米、英、スイス、豪、カナダ、NZ、ノルウェー、スウェーデン、シンガポール 米、英、スイス、豪、カナダ、NZ、ノルウェー、スウェーデン、シンガポール
AA+ Aa1     香港
AA Aa2     台湾、韓国
AA- Aa3 日本、香港、台湾 香港、台湾 日本
A+ A1 韓国、南アフリカ ハンガリー 中国
A A2 タイ、メキシコ 日本、中国、南アフリカ タイ、南アフリカ
A- A3 中国、ハンガリー 韓国 ハンガリー
BBB+ Baa1 ロシア タイ、メキシコ メキシコ
BBB Baa2   ロシア ロシア
BBB- Baa3      
BB+ Ba1 インド   インド
BB Ba2 ブラジル インド  
BB- Ba3   ブラジル ブラジル
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