外国為替証拠金(保証金)取引(FX)とは?
外国為替証拠金取引は「FX」(Foregin Exchange)といわれるものです。1998年外為法が改正され「外国為替証拠金取引」という投資が生まれました。
当初は規制がなかったため問題となることもままありましたが、2005年7月の金融先物取引法の改正により業者の登録制、顧客資産の分別管理などの法規制整備・強化で、投資家保護が図られました。
特徴
外国為替証拠金取引は、少ない保証金でその十数倍の外国為替を売買し、その外国為替を決済したときの為替レートの差や金利(スワップポイント)などで利益を得る取引です。
短期的な為替差益狙いや、スワップ金利による外貨預金以上の効果を得ることできる中長期的な資産運用手段として注目を浴びています。
- 少ない証拠金(保証金)で大きな金額(十数倍)の取引が行える(レバレッジ効果)
- 為替市場は24時間機能してるので好きなときに取引を行うことができる
- 円安でも円高でも利益を上げられる可能性がある
- 取引の手数料が安い~1ドルにつき片道5-20銭(外貨預金の1/10程度)
- 「スワップ金利」(金利の高い通貨を買った場合につく金利の一種)の金利差で収益を上げることが可能
注意点
下記リスクを十分に認識し、資金も範囲内でかつ判断は自分で行うなどの自己管理が重要です。損失を最小限に抑える「ロスカット」などリスクの軽減にも留意します。
- レバレッジ効果はプラスにも大きく働きますが、マイナスにも大きく働くハイリスク・ハイリターンであること
- 元本保証はないので元手の投資資金が大きく減る可能性もあります
- スワップ金利は、金利の高い通貨を売った場合は金利分の損失を逆に払わなければなりません
外国為替証拠金取引の基本的なルール
項目 | 説明 |
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レバレッジ効果 | 少ない資金で大きな取引ができます。実際には10~200倍のポジションを持つことができます |
取引単位 | 1万通貨単位から取り引きが可能です。中には1,000通貨単位からできる会社もあります |
決済期限 | 一度持ったポジションは、クローズするまで断続して持つことが可能です |
24時間取引可能 | 世界の外為市場が開いている時間は、日本が休日であっても為替取引が可能です |
売りも買いも可能 | 円高と思えばドルを買い、円安と思えばドルを売る、自分に合った投資スタンスで取引が可能 |
外貨の受渡し | 銀行に比べて安い手数料で自分の外貨口座に入金することが可能です |
外貨運用比較
外貨運用には、外貨預金と外貨MMF、外国為替証拠金取引の3つがあります。
国内の銀行で外貨建てで預金する「外貨預金」、投資信託の1つ「外貨MMF」、高収益が期待できる「外国為替証拠金取引」です。
比較項目 | 外国為替証拠金取引 | 外貨預金 | 外貨MMF | |
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特徴 | 手数料が安く、高い収益を上げることも可能 | 気軽に取引できるが、低金利 | 手数料が比較的安めで、利回りも外貨預金に比べ高い | |
取扱い窓口 | 証券会社、為替取引専業会社 | 銀行 | 証券会社、銀行 | |
取扱い通貨 | ドル、ユーロ、豪ドル、NZドル、ポンド、カナダドル、スイスフラン | ドル、ユーロ、豪ドル、NZドル、ポンド | ドル、ユーロ、豪ドル | |
売買の種類 | 円売り外貨買い 円買い外貨売り 外貨売り外貨買い |
円売り外貨買い | 円売り外貨買い | |
必要金額 | 1万通貨単位~ | 定期は10万~100万の預入れ | 最低1通貨単位~ | |
取引可能額 | 保証金の10倍程度 | 投資金額と同額 | 投資金額と同額 | |
為替手数料 | 平均1ドルにつき片道5~20銭 | 平均1ドルにつき片道2円 | 平均1ドルにつき片道50銭 | |
為替レートの更新頻度 | リアルタイム | 1日1回~数回 | 1日数回 | |
取引時間 | 24時間 | 営業時間内 | 営業時間内 | |
預金期間 | 無期限 | 無期限(定期は1ヶ月~1年など) | 無期限 | |
利益 | 利息 | スワップポイント(日々発生) | 年利(利回り、数ヶ月ごとに計算) | 収益分配金(解約時に発生) |
為替差益 | あり(円安時・円高時) | あり(円安時) | あり(円安時) | |
税金 | 利息 | 雑所得 | 源泉分離課税 | 源泉分離課税 |
為替差益 | 雑所得 | 雑所得 | 非課税 | |
換金性 | いつでも可能 | 定期は中途解約不可or違約金 | いつでも可能 | |
リスク | 為替リスク、信用リスク | 為替リスク | 為替リスク | |
評価 | 売買レートの差(スプレッド)が非常に少ないため、相場に変動がない時に売買しても外貨預金ほど損をしない | 現地通貨に替えるレート(TTS)と日本円に戻すレート(TTB)の差が大きく、この差を金利が埋めるまでに時間がかかる | 長期的に保有すれば利益も期待できるが、短期での取引ではそれほど利益は見込めない |
外国為替市場
~東京、ロンドン、ニューヨーク市場:世界の3大マーケット
月曜の朝7時(英22時,米17時)から土曜日の朝7時までが外国為替市場の取引時間です。
この間、16時(英7時,米2時)頃からヨーロッパの投資家が市場に参加し、その後21時(英12時,米7時)頃からはアメリカの投資家が市場に参加するというようにグルグルと周っています。
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外為市場の1日は、まだ私たちが寝ている午前5時にニュージーランドのウェリントン市場で始まります
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それから1時間後にオーストラリアのシドニー市場が開き、その後東京市場にバトンタッチされ、マーケットの中心はアジア市場に移行します
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アジア市場は、東京、香港、シンガポール(それぞれ東京より1時間遅れで始まる)で形成され、特にドル/円の取引高はこの時間帯に集中し、流動性が高まります(取引量が大きい)
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その後、ヨーロッパ、ユーロ圏を中心とするロンドン市場に移ります。このマーケットではユーロが中心に取引され、外為市場として最も流動性が高くなります
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そして、ロンドンの昼ごろにニューヨーク市場が開き為替が大きく変動する時間帯となります。ニューヨークタイムには米国の経済指標や要人発言などのニュースが頻繁に出るため相場が大きく動きます
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そしてニューヨークから再びウェリントンへ。外為市場は24時間、常にどこかで取引されている眠らないマーケットです
市場(日本時間) | 説明 |
ウェリントン・ シドニー市場 (7:00~14:00) |
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東京市場 (9:00~17:00) |
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ロンドン市場 (18:00~2:00) |
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ニューヨーク市場 (23:00~7:00) |
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(注1)市場オープン時間:東京、ロンドン、ニューヨークとも現地時間9:00~17:00
(注2)サマータイムの日本時間はロンドン(17:00~1:00)、ニューヨーク(22:00~6:00)
相場が動意づく時間帯
為替相場の動向を見る上で、注意したい時間帯というものがあります。東京時間10時と24-25時(夏時間25-26時)は大口の取引が出やすいため、相場が大きく動き易い時間帯となります。
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東京仲値(東京10時=LDN1時=NY20時)
仲値(なかね)とは、朝10時のインターバンク市場(銀行間の取引相場)の水準をもとに決める銀行の対顧客取引レートのことです。特に5の倍数の日はゴトウ日と呼ばれ、企業など大口の決済が多いため、大きく動きやすい。 -
ロンドンフィキシング(東京25時=LDN16時=NY11時)
ロンドンフィキシング(London Fixing)とは、東京外為市場午前10時の仲値のような、ロンドン市場16時(夏時間17時)のフィキシングのことです。大口の顧客取引が出やすいため、大きく動きやすい。 -
ニューヨークオプションカット(東京24時=LDN15時=NY10時)
NY市場の10時(夏時間11時)。ニューヨークカットのオプションがあるため東京市場での仲値公示時間のように相場の動意が見られやすい。
シカゴIMM市場
~通貨先物マーケット シカゴIMM通貨先物取組高報告
IMM(International Monetary Market)とは、シカゴマーカンタイル取引所(CME)にある国際通貨先物市場のことです。
海外投機筋の売買動向を映すとされ、非商業(投機筋)ポジションの変化によって、為替相場の潮目、流れの変わり目を掴む目的などで注目されています。
- IMMポジションがマーケット全体の縮図を表していて、投機筋が相場に対して強気の姿勢なのか
弱気に傾いているのかを推測できる - さらに重要なのはポジションの偏りが大きく膨らむとそのポジションを手仕舞うときに市場に大きな
インパクトを与える点です
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CFTC(全米先物取引委員会)は、取引所に未決済ポジションの公表を義務付けています。
取引所は毎週火曜日の取引終了後(現地時間)の未決済ポジションをCFTCに報告し、CFTCはそれを集計して当該週の金曜日の取引終了後(現地時間)に公表しています。報告と公表に時間のずれがあることに注意が必要です。
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円(USD/JPY)、ユーロ(EUR/USD)、豪ドル(AUD/USD)、加ドル(USD/CAD)、スイスフラン(USD/CHF)、英ポンド(GBP/USD)、NZドル(NZD/USD)について、未決済ポジションが発表されます。
未決済ポジションの中には、商業ポジションと非商業(投機筋)のポジションがあり、非商業ポジションは、投機筋の動向を見るために注目されています。
※コントラクト(枚)とは、取引の最小単位で、円の場合、1コントラクト=1250万円です。 -
先物取引では、未決済ポジションはいずれ反対売買によって手仕舞われることとなるため、「買い越し」(ロング)ポジションが過剰になると相場が天井を示し下落に、「売り越し」(ショート)ポジションが過剰になると相場が底を打って上昇につながると見られています。
米ドル/円の場合では、ポジションが円ロング(円買い)に偏ると米ドル/円の底を示し上昇(=円安)に、円ショート(円売り)の場合は米ドル/円の天井を示し下落(=円高)につながる可能性が高いことを意味しています。
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大口のファンドなど市場への影響力が大きい参加者は自らのポジションが公開されることを避けるため、通貨先物を利用していないとの話もあり、必ずしも投機筋のポジション動向が相場に反映されない場合があります。
FX取引の仕組みについてはこちらをご覧ください。
http://stock.kikuchisan.net/fxshikumi.html