チャートと売買サイン
チャートには「高値を買わない」「株価が上昇・下落に転換する時を掴む」という株式投資にとって重要な二つの機能があります。
株の基本は「安い時に買って、上昇したら売る」ということですが、安値で買えば儲かると知っていながら、なぜ「高値で買ってしまうのか」というと、「今は底値圏にあるが、これから上昇し始める可能性がある株」を探す方法がなかなか見つからないからではないでしょうか。
つまり、「現在は下がっているが、もうすぐ底を打って上昇する」可能性がある銘柄を探すということで、これを見分けるために売買サインがあります。
テクニカル指標とは?
株価の動き、出来高、時間などのデータを加工して、現在の株の状態や今後の株価動向予想を分析するために作られた指標です。
テクニカル指標をもとに作ったチャートをテクニカルチャートといい、移動平均、ボリンジャーバンド、RSI、RCI、ストキャスティクス、一目均衡表、MACDなどが代表的なテクニカル指標・テクニカルチャートです。
テクニカル指標 | 売りサイン | 買いサイン |
---|---|---|
ボリンジャーバンド | +2シグマ以上 | -2シグマ以下 |
RSI(相対力指数) | 75%以上 | 25%以下 |
ストキャスティックス | 70%以上 | 30%以下 |
RCI(順位相関指数) | +90以上 | -90以下 |
騰落レシオ(25日) | 120%前後 | 70%前後 |
25日移動平均乖離率 | +10%以上 | -10%以下 |
25日/75日移動平均線 | デッドクロス | ゴールデンクロス |
一目均衡表 | 雲下抜き | 雲上抜き |
3本新値足 | 陰転 | 陽転 |
主にトレンド判断に役立つもの(移動平均、ボリンジャーバンド、一目均衡表、MACD)と、相場の過熱感やサイクルなどを判断するのに役立つ(RSI、RCI、ストキャスティクス)など、それぞれの特色によって使い分けるのが、テクニカル指標を使いこなすコツです。
ローソク足と窓埋め
窓とはチャートで使う言葉です。チャートとは株価の動きを記録する方法で、一日の株価をチャートで示す場合には「始値・高値・安値・終値」の4つの数字を使います。使い方は始値と終値を横線で表示し、高値と安値を縦線で表示します。
始値よりも終値が高かい場合は、上昇したことを示すために白い長方形とします。この白い長方形を「陽線」と言い、縦線を含めるとちょうどローソクの様な形ができますので、この形をローソク足といいます。
逆に始値よりも終値が安かった時にはその日は下がったことになりますので、一目で下がったことが分かる様に長方形を黒く塗ります。これを「陰線」と言います。
株価が上昇した場合には白い長方形のローソク足ができ、翌日の始値価格が前日の高値よりも高かった場合、この2つのローソク足の間に連続しない空間ができます。この値段が付いていない価格の間を「窓」と言います。当然下落する場合にも窓は発生します。
なぜ「窓」が注目されるのか?
- 窓を作る様な相場の場合、その後も大きく上昇(下落)しますので、窓を開けたまま動き続けることが多い。
- そしてある程度上昇(下落)し続ければ当然調整(反転下落あるいは上昇)が起こります。この時に下落したとしますと「窓」を埋めるまで下落する可能性があると専門家は考えます。
- 実際に株価が下落してきますと「窓埋めの動き」が起こって、窓が埋まるまで下落した時に買いを入れます。
- このような窓埋めという株価の習性は、専門家の間では重要視されています。
一目均衡表
一目均衡表は、“投資家の心理の変化”を図表化したものです。
ローソク足のほか、基準線(右図茶)、転換線(赤)、先行スパン1(緑)、先行スパン2(青)、遅行スパン(桃)の5本の線で成り立っており、特に先行スパン1と先行スパン2の間を“抵抗帯(雲)”と呼びます。
基準線
- 基準線とは過去26日間の高値と安値の平均で、相場の方向性をあらわします。相場の「基準」ととして、一目均衡表で最も重視されます。
- 基準線が横ばいの時は方向感なく、基準線が上昇すると相場は強気相場、下降すると弱気相場に変化して行きます。
- また、基準線の上昇が伴わない上昇は短命に終わるとも言われています。
- 日々のローソク足が基準線の上にあれば相場は強く、基準線の下にあれば相場は弱いという見方もされます。
転換線
- 転換線とは過去9日間の高値と安値の平均値で、転換線が基準線を下から上に突き抜けるときを「好転(強気相場;買いシグナル)」、逆に上から下に突き抜けるときのことを「逆転(弱気相場;売りシグナル)」と呼んでいます。
- 転換線が基準線より上にあれば「買いの局面」、転換線が基準線より下にあれば「売りの局面」とされます。また、基準線が「押し目」の限界、転換線が「戻り」の限界とされています。
先行スパン
- 先行スパンには2種類あり、その2本の線の交差やそれらに挟まれた領域で相場動向を判断します。
- 先行スパン1は基準線と転換線の平均を26日先行させたもの、先行スパン2は過去52日間の高値と安値の平均を26日先行させたものです。
- 先行スパン1と先行スパン2を比べると先行スパン1の方が短期の動きを表わしますので、先行スパン1の方が現物の株価の動きに近づきます。通常、上昇相場で株価が雲の上にいるときの雲は雲の上限が先行スパン1、下限が先行スパン2になります。
- 逆に、上昇相場でも先行スパン1が雲の下限を形成しているときは上昇力は強いものではないし、下落相場で先行スパン1が雲の上限を形成しているときの下落圧力は強いものではないといえます。
- 先行スパン1と先行スパン2がクロスするということは短期と長期のコストが一致するとも見て取れるので強気派と弱気派の力が均衡している状態でもあります。ですので、変化が起きやすい状態と言えます。
雲
- 2本の先行スパンに挟まれた領域を「雲」と呼びます。雲は株価の抵抗帯になったり支持帯になったりします。雲の中に株価が入ると、雲の上限で跳ね返され、雲の下限でも跳ね返されます。つまり、雲の中でもがくような形になります。
- 株価が雲よりも上にあるときは、雲は支持帯として上昇トレンドを表わし、株価が雲よりも下にあるときは、雲は抵抗帯として下降トレンドを表わします。雲が厚ければ抵抗力が強く、薄ければ抵抗力は弱いと判断されます。
- ローソク足が雲を下向きに突破すると売り局面、雲を上方へ突破すると買い局面とされます。ローソク足が雲の中にある間は、相場はどっちつかずだとも言われます。
- 雲がクロスしたところに特に注目します。雲が薄くなったところは雲を突き抜けていけるので変化が起きやすいと言われています。変化がおきやすいといっても、今までの動きと逆方向になるというのではなく、上に行くのか下に行くのかは別にして雲のクロスしている箇所から、新しい株価のトレンドが出る可能性があるという意味です。
遅行スパン
- 遅行スパンは当日の終値を26日前にさかのぼって記入したものです。つまり当日の株価(遅行スパン)と26日前の株価(ローソク足)を比較することになります。
- 遅行スパンがローソク足よりも高いときは26日前にその株を購入した人は、現在、利食える水準になっていることを意味しますので、相場が強い(買い局面)状態を示します。逆に遅行スパンがローソク足よりも低いときは利食える水準にないので、相場が弱い(売り局面)状態を示します。
- つまり、遅行スパンが26日前の株価を上回る時(買いシグナル)ないし下回る時(売りシグナル)は強気相場、弱気相場の転換を表わすことになります。
売買シグナル
買いシグナル
- ローソク足が雲を上回ったとき
- 転換線が基準線を上回ったとき
- 遅行スパンがローソク足を上回ったとき
- 上記3つのすべてが実現した場合には、“三役好転”と呼び、強い買いシグナルと考えます
売りシグナル
- ローソク足が雲を下回ったとき
- 転換線が基準線を下回ったとき
- 遅行スパンがローソク足を下回ったとき
- 上記3つのすべてが実現した場合には、“三役逆転”と呼び、強い売りシグナルと考えます
そのほか、一目均衡表では、基準線の方向(=相場の方向)が重要と考えます。基準線の方向が変化した場合には、注意する必要があるでしょう。
また、9、17、26などを特別な数値と考え、高値や安値などから数えて9日目、17日目、26日目などを“変化日“として認識しています。変化日においては相場のトレンドが変わる可能性があり、基準線の方向と同様に注意する必要があります。
移動平均線
グランビルは、株価と200日移動平均線との相対関係によって投資タイミングを捉えることが出来るとして、「8つの基本法則」を定めています。
買いシグナル
- 移動平均線が下落の後で横ばいになるか、上昇基調になったときに株価がその移動平均線を上回った場合には、重要な買い信号である。
- 移動平均線がまだ上昇しているのに、株価がその移動平均線を下回るような場合には、買いの時期である。
- 株価が上昇基調の移動平均線の上にあり、この移動平均線に向かって下がり、移動平均線を通り抜けないで再び上向きに反転する場合には、買い信号である。
- 株価が下降しつつある移動平均線より下に大きく離れた場合には、移動平均線に向かって自律的に戻る可能性があり、この短期の技術的上昇を利用して株を買っても良い。
売りシグナル
- 移動平均線が上昇の後で横ばいになるか、下降基調になったときに株価がその移動平均線を下回った場合には、重要な売り信号である。
- 移動平均線がまだ下がっているのに、株価がその移動平均線を上回るような場合には、売りの時期である。
- 株価が下降基調の移動平均線に下にあり、この移動平均線に向かって上昇し、移動平均線を通り抜けないで再び反落し始める場合には、売り信号である。
- 株価が上昇しつつある移動平均線より上に大きく離れた場合には、移動平均線に向かって自律的に下げる可能性があり、この短期の技術的反落を利用して株を売っても良い。